犬がいつごろから人間と暮らし始めたかご存知ですか?なんと、1万5000年前だそうです。愛玩動物としてではなく、狩猟のための家畜として飼われていました。イスラエルでは1万2000年前のお墓に、人間と一緒に埋められた犬の骨が見つかり、日本でも丁寧に埋葬された犬の骨が見つかっています。
1万年以上も人間と暮らしているので、犬は本能・遺伝子レベルですでに人間との生活に適応しています。しかし、それでも狩猟本能はまだ少し残っており、それが飼い主にとって悩みの種にもあります。
もし、あなたの愛犬が問題行動を起こしているときは、この記事をご覧ください。吠え、かみつき、食べ物を隠すなど、問題の行動の根本的な原因である犬の本能と、その本能を活用したしつけの方法をご紹介します。
犬がものを隠す理由
野生の犬は、他の犬から食べ物を奪われないようにする必要がありました。食べ物を隠すのは、森の中を群れで歩き回る犬にとっては正しい生存戦略だったかもしれませんが、家庭内で同じことをされても困っちゃいますよね。例えば、愛犬がお気に入りのおもちゃをソファのクッションの隙間に隠するのはその名残です。あるいは愛犬が吠えたり攻撃的になるのも、その名残です。
ほとんどの家庭では、犬の行動を観察し、適切な量の食事を与え、食事中は愛犬を独りにしてやれば、食べ物をソファに隠したり、噛みついたりすることはありません。小さなお子さんがいる家庭では、子供が犬にかまいすぎて、かみつきなどによる深刻なケガにもつながりかねません。
また、犬が食べ物を隠したりかみついたりするかは、育ち方にもよります。母乳を得るために他の子犬と競い、共有の食器から他の子犬と争うようにご飯を食べた犬は、大人になっても食事ついて競争的になる傾向があります。子犬を飼い始めたら、十分に食事があることをゆっくりと教えてあげましょう。もし、成犬に同じような問題が見られる場合は下をお試しください。
ディセンシタイゼーション(desensitization:系統的脱感作法)トレーニング
ものを隠す癖がある犬には、ディセンシタイゼーションとカウンターコンディショニングが有効です。
ディセンシタイゼーション(desensitization:系統的脱感作法)は、恐怖を感じるもの、不安を感じるものに対して過敏になった状態から段階的に抜け出していくための方法です。犬が食事中に飼い主に吠えるのは、飼い主が自分から食事を奪うのではないかと恐れているからです。
ディセンシタイゼーションを始めるには、まず犬が餌を食べているときに、「何食べてるの?」など決めたフレーズを言いながら、犬が食べているものに少しだけ興味があるふりをします。そして、犬が吠えなければ、ご褒美におやつをあげます。同じフレーズを言いながら1歩ずつ近づきます。10回言っても吠えなくなるようになるまでトレーニングを続けましょう。
次に、愛犬の食器に触っても吠えないように、食器を移動しても吠えないようになるまでトレーニングしましょう。
このトレーニングをすると、飼い主が自分から食事を奪うという恐怖から段階的に抜け出せます。恐怖がなければ、吠えたり隠したりもしません。
このトレーニングを行っても、愛犬のパーソナルスペースを尊重してください。あなたのことは信頼しても、他の人が食事中に近づいたら不快かもしれないし、トレーニングのおかげで我慢はできても、ストレスはたまるかもしれません。
犬が吠える理由と対策
犬の問題行動によくあげられる無駄吠え。うるさいし、ご近所迷惑にもなりますし精神的につらいですよね。無駄吠えは飼い主だけでなく、犬にとってもつらいのかもしれません。無駄吠えの原因はストレスの場合もあります。
愛犬の吠え癖を直す第一歩は、犬の気持ちの理解です。
雑音をきっかけに吠える場合は、お留守番中は外部からの雑音を消すために音楽を流したり、ラジオをつけっぱなしにするのが効果的です。また、人を見ると吠える場合は、カーテンを閉じるだけでも効果があります。
それでも無駄吠えをやめないならトレーニングが必要です。
最近では、無駄吠え防止首輪という、犬が吠えたり威嚇したりした時に、自動あるいは手動で、警告音・静電ショックを愛犬に刺激を与えて無駄吠えを矯正する道具もあります。しかし、無駄吠え防止首輪を購入するときは、慎重に検討にしましょう。
自動で静電ショックを与えるものは、他の犬の鳴き声に反応して静電ショックを与えてしまう場合もあります。これでは犬が混乱してしまいしつけになりません。また、他の音に反応して静電ショックを与えたり、無駄吠えしたのに静電ショックを与えなかったりしても、トレーニングの効果が薄れてしまいます。
無駄吠え防止カメラよりも、ペットカメラがおすすめです。Petcube Playなどのペットカメラは、愛犬が吠えたら、スマホに通知を送る機能があります。そして、カメラに内蔵されたスピーカーを通して外出中でも愛犬に注意することができます。
犬の破壊行動の原因と対策
仕事を終えてクタクタで帰宅したときに、お気に入りの靴とカーペットがボロボロになっていたらショックですよね。ついつい感情的になってしまいそうですが、頭ごなしに叱ってはいけません。
犬が問題行動を起こしたら、最初にすべきことは獣医さんに診てもらうことです。もしかしたら、噛んだり掘ったりするのは、病気やストレスが原因かもしれません。まず獣医さんに診てもらい、健康に問題がないことを確認しましょう。病気でなかったら、まず犬用の噛むおもちゃを買いましょう。
残念ながら、犬に噛むのをやめさせることはできません。だから、靴や鞄ではなく、おもちゃを噛ませるように工夫します。まず、噛んじゃいけないものを犬が届かないところに置きます。次に、今まで噛んでいたものに似た質感のおもちゃを買います。ちなみに少しだけ外側が柔らかくて中に書い硬い芯があるおもちゃが一般的に犬の好みです。それでも犬が噛んではいけないものを噛んでしまう場合は、噛みぐせ・舐めぐせ防止スプレーをお試しください。噛みぐせ・舐めぐせ防止スプレーは、犬が嫌い味のスプレーを噛んじゃいけないものにかけ、二度と噛んだり舐めたりしたくなようにします。
破壊癖・破壊行動については、何が原因かを見極めるのが大切です。破壊壁の多くは、ライフスタイルをちょっと変えるだけで解決できます。もしかしたら、ケージが嫌いで破壊行動をしているのかもしれませんし、大きい音が怖くてカーペットを掘っているのかもしれません。
まずは、可能な限り、外的な刺激を取り除きます。それでも破壊的な行動が続く場合は、トレーニングと運動を試してみましょう。退屈でエネルギーがあり余っているのが原因で破壊行動に出る場合もあります。その場合、解決策は適度な運動です。
問題行動は、犬がシェルターや保健所に遅れられたり、捨てられたりする理由のトップです。しかも、多くの飼い主はきちんとしつけをする前に犬を捨てています。
犬はあなたに迷惑をかけたいわけでも、あなたが嫌いなわけでもなく、ただ本能で行動しているのです。適切なしつけをすれば、あなたの愛犬はきちんとあなたの期待に応えてくれるでしょう。